抵当不動産の第三取得者は、抵当権の実行として競売による差押えの効力が発生する前に、抵当権消滅請求をしなければならない。なお、抵当権不動産の停止条件付第三取得者は、その停止条件の成否が未定である間は、抵当権消滅請求をすることができない。
抵当権消滅請求ができる者は、抵当不動産につき所有権を取得した者である。したがって、主たる債務者、保証人及びこれらの者の承継人は抵当権消滅請求することはできない。これらの者は、そもそも債務の全額を弁済すべき立場にある者だからである。なお、地上権、永小作権、賃借権を取得した者も抵当権消滅請求をすることはできない。
抵当権者が抵当不動産の第三取得者から所定の書面の送付を受けた後、2か月以内に抵当権を実行して競売の申立てをしないときは、抵当不動産の第三取得者が書面で提示した抵当権消滅請求にかかる代価又は金額を承諾したものとみなされる。したがって、承諾できない旨を通知したのみでは、同請求に基づく抵当権消滅の効果を阻止できず、抵当権消滅の効果が生ずる。
抵当不動産の第三所得者は、抵当権消滅請求をするときには、登記をした各債権者に対して民法383条で規定する一定の書面を送付しなければならない。しかし、その送付書面につき事前に裁判所の許可を受ける必要がある旨の規定はない。
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